エルトンジョン

エルトンジョン:オールタイムランキング TOP75

2022年3月25日の75歳のエルトンジョンの誕生日を祝して、
エルトンジョンの50年以上に渡る伝説的なキャリアから
最高に燃える曲、最高にディープな曲が発表されました!

しかもこのランキングはビルボード誌のスタッフが選んだというから
魅力たっぷりのランキングです。

エルトンジョンファンの人も、
最近のリミックスで知った方も、
もう一度作品を再確認してみてはいかがでしょうか?

エルトン・ジョンの50年以上にわたる伝説的なミュージシャンとしてのキャリアを
ごちゃっとひとまとめにして評価することは、大変難しい作業です。

何故ならば、半世紀以上を前線で活躍するエルトンジョンを評価するということは、
一つの物差しで測るということになります。

それではこのエルトンジョンの圧倒的なキャリアを推し量ることはできませんし、
多くのファンの間で意見が分かれてしまうのは当然と言えるからです。

まず、彼を評価する上で難しくさせている理由に、
彼は常に大きく異なる二面性を持っていたということが挙げられます。

一方は、ポップミュージシャン、アイコン的アイドルとしてのエルトン・ジョン。
つまり、
奇抜なファッション
有名人とのデュエット
大規模で大掛かりなアルバム
そしてエンターテイメント的なライブツアー
各年代どこにでも出てくる橋渡し的存在
そこから出てくる映画、ミュージカル、ロック、クラシックとジャンルを問わない柔軟性
そして多くの象徴的な大ヒット曲を生み出した人物であります。

その一方、
ロック・シンガーソングライターのエルトン・ジョンは、
レヴォン・ヘルムやレオン・ラッセルを崇拝し、
長年の創作パートナーであるバーニー・トーピンとともに、
断片的なシングルカット曲を発表することにはせず、
西洋文化(特に宗教的)テーマにした一貫性あるアルバムを作りました。
その為、作風がバラバラになることなく、
これぞアルバムのお手本という作品を丁寧に作り続けました。

恐らく「キャプテンファンタスティック&ザ・ブラウンダートカウボーイ」で
一旦はケジメをつけたエルトンジョンは燃え尽きたかのようになります。

しかし、見事にその苦悩と迷走を隠すことなく、
作品にぶつけ、消えることなく活動します。

キャリア後期にライアン・アダムスやローカット・コニーなどから
インスピレーションを得て、
史上最もカバーされているピアノバラードを共同作曲し、
最後は「キャプテン&キッド」を確立させた人物なのである。
(「キャプテンファンタスティック&ザ・ブラウンダートカウボーイ」エルトンジョンとバーニートーピンのたった二人から始まった活動が、エルトンとその後の世代のチルドレンの構図になったという意味。)

エルトンの活動を振り返ると
上記の大雑把に挙げた二面性というよりも
むしろこれが一人の人間の行動か?とまるで統合失調症のような気分になる。

しかし、ひとつだけ確かなことは、
私たちはエルトンという人物が生み出したとてつもない多くの作品の中から
お気に入りを選ぶことができるということです。

エルトン・ジョンほど、
ビートルズ以外のアーティストで、
この60年間、ポップとロックの両方のジャンルに大きな影響を与えた人はいないでしょう。

そして、多くのミュージシャンがどちらのジャンルでも達成したいと望んでいます。
それを実際に達成し、
ここまで長寿であり続けたアーティストはいないでしょう。

ビルボードホット100の1位ヒット
ビルボード200の1位アルバム
そして史上初の初登場1位アルバム
ロックの殿堂入り
ウォークオブフェームのスター
ケネディセンターの栄誉
ナイト(爵位)など
ミュージシャンとして成し遂げたいことはほぼすべて成し遂げた。

過去50年間で最も売れたシングルを持ち、その曲は彼が言うには
合計3回演奏し、1回だけ聴いたことがあるそうだ。
(ダイアナ妃追悼の作品。ここではあえて名前を出していない。)

映画のサウンドトラック
思いがけないコラボレーターとの画期的なパフォーマンス
1994年にディズニーファンと子供たちにも大きな影響を与えたことなど、
とても挙げ出したらキリが無い。

そして、75歳の誕生日を控えた今現在、
世界で5本の指に入る現役アーティストなのである。

75歳というこの節目を記念して、
エルトン・ジョンの作品、ランキング75をご紹介します。
当然、彼の幅広い作風のほんの一部となってしまいます。
あなたの大好きなReginald Dwightの旅が、
黄昏のレンガの道であったとしても、
タンブルウィードの道であったとしても、
きっと気に入るものが見つかると思います。

ナイト エルトンジョン、75歳の誕生日おめでとうございます!
その他の皆さんも、ポピュラー音楽の歴史の中で
最もこの世のものとは思えないような作品群のカタログの中に、
私たちと一緒に飛び込みましょう!

75位 ”Cold Heart” (PNAU Remix) (With Dua Lipa) (‘The Lockdown Sessions,’ 2021)

エルトン・ジョンは、
70年代に発表した楽曲の新バージョンで90年代に2度チャート1位を獲得しています。
Hot 100史上、旧作を再演して成功を収めたアーティストはほとんどいない。
オーストラリアのエレクトロ・ポップ・トリオ、PNAUが優しく響くビートに乗せて、
ジョンの昔の曲4曲(サクリファイス、コールドハート、ロケットマン、シュラー。うち2曲は現代の英国ポップスター、デュア・リパが歌っている)を再構築した「Cold Heart」は、彼のチャート獲得への究極の近道と言えるでしょう。
うまくいくはずがないのだが、何故かうまくいっている。
これがエルトン・ジョンが52年もの間、
チャートで存在感を示し続けてしまうレシピなのだ。by アンドリュー・アンターべーガー

74位 ”Mama Can’t Buy You Love” (‘The Thom Bell Sessions,’ 1979)

フィリー・ソウルサウンドの立役者の一人であるトム・ベルがプロデュースし、
彼のビジネスパートナーであるスピナーズがバックヴォーカルを務めた。
エルトンジョンというボーカリストとしてのうまさ、安定感を改めて実感する作品。
この曲の軽快なディスコ・サウンドは、
ディスコサウンドが飽和状態にあった1979年でありながら
エルトンをトップ10に返り咲かせるのにひと役買った。

ベルの甥であるルロイ・ベルとケイシー・ジェームズは、この曲を共同で作曲した。
彼らはベル&ジェームスとして、
その4ヵ月前に “Livin’ It Up (Friday Night) “というディスコ・ヒットチャートで
トップ15入りを果たしていたのである。by ポール・グライン

73位 ”Tower of Babel” (‘Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy,’ 1975)

エルトンとバーニーのパートナーシップの初期の流れを詳細に描いた
自伝的な1975年のアルバム
『Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy』に収録。

ここで、「Tower of Babel」は異彩なトーンを確立している。
退廃的な世界観に溢れたこの曲は、
辿り着くまで分からなかった芸能世界の汚さ、
スターダムとは言いながらどのスターも優雅さの無い陰険さ
またはスポンサー、クライアントの構造、
どういう立場で付き合っても自分達にとって心の支えになることはない世界。

「Tower of Babel」は、
エルトンの最も愛おしく、
最も切ないメロディーによって表現された作品。
私たちも同様に、
夢見る世界を実情を見て、いつも失望している。
そこに感情移入することができる。by スティーブン・トーマス・アールワイン

72位 ”Long Way From Happiness” (‘The Big Picture,’ 1997)

発売から25年、『ビッグ・ピクチャー』は、
携わった制作者たちにとって、あまりいい思い出として回想されない。

バーニーは、このアルバムは長年エルトンと一緒に作った中で
最悪の思い出のアルバムだと言っている。
もちろん、これは作品に対してでなく、
エルトン自身の精神状態が一番不安定で、苦悩に満ちていた時のアルバムという訳だ。

その為、バーニーは理由の一つに
オープニングの本曲である「Long Way From Happiness」は、
うめき声のようなシンセサイザーと絶望的な歌詞が
当時のエルトンの中に深いメランコリー(憂鬱)そのものだと語っている。

映画「ロケットマン」で描かれていたような絶望のどん底にいたエルトン、
(レコーディングの時点でエルトンは、将来の夫となるデヴィッド・ファーニッシュと出会っており、徐々に持ち直してきていた。)の心の闇が、
90年代のフィル・コリンズのような優れたバラードサウンドで表現されている。

エルトンとバーニーにとって、
僕の音楽的な評論は取るに足らないものにしか聞こえないだろうが、
だからこそ、すぐ直後に『Songs From the West Coast』を作ったのだと思われる。
by A.U.

71位 ”(I’m Gonna) Love Me Again” (With Taron Egerton) (‘Rocketman’ Soundtrack, 2019)

エルトン・ジョンに2度目のオスカーをもたらした「(I’m Gonna) Love Me Again」は、
自己を肯定する喜びの曲であり、
傷つき、打ちひしがれている人への応援歌である。

この曲は、エルトンが自伝的ファンタジーのミュージカル映画『ロケットマン』で語りたかったメッセージを集約したもので、
彼が自分自身を受け入れ、断酒への道を歩む様子を描いている。

伝えたいメッセージと決意とは裏腹に、
弾けるようなメロディーと活気に満ちた映像演出が、
この作品の希望と高揚感を与えている。
明るい自己啓発のためのマントラ、いわゆる人生讃歌であり、呼吸法だ。 by S.T.E.

70位 ”Ego” (Non-Album Single, 1978)

エルトンとバーニーが1976年の2枚組アルバム『ブルームーヴス』のために書いた曲だが、アルバムには収録されなかった。

1978年春にようやく単発のシングルとしてリリースされたこの曲は、
ショービジネスの暗くて汚い裏側と
アイドルが落ちてしまう落とし穴に焦点を当てた作品。
アップビートだが緊張感のある曲である。

この作品には当時、最もお金をかけて作られたプロモーションビデオもあり、
それはMTVが始まる3年以上も前なのである。
発表するメディアが確立されていない当時、映画館で本編の前座に流された。by P.G.

69位 ”Believe” (‘Made in England,’ 1995)

エルトンが90年代半ばの英国ポップ・シーンにあまりなじまなかったのは残念だ。

しかし、当時の彼のソロ作品のほとんどは
これまでの活躍を考えると、確かに物足りなかった。

もし、全盛期のような活躍の中に発表されていたら、
本作はもっと評価されていたであろう。

とは言え、90年代半ばの低空飛行の中で
Hot 100のトップ20に入るヒット曲 “Believe “は、
彼の最も美しい曲のひとつに数えられるはずだ。

聳え立つメロディと感情こもったコーラス(”I believe in love”)は、
ホーンのフィルが滝のように永遠と続くと思われるほどだ。

リアム・ギャラガーはおそらくラジオでこの曲を口ずさんでいただろう。
本人たちは決して認めないかもしれないが。by A.U.

68位 ”I Don’t Wanna Go on With You Like That” (‘Reg Strikes Back,’ 1988)

エルトンは1988年のアルバム『Reg Strikes Back』(レグの逆襲)というタイトルが示す通り、熱い思いを胸に秘めていた。

それは80年代半ばの楽曲の売れ行き、悪い評価、
さらにマスコミなどによるゴシップに耐えてきた上で
並々ならぬ思いでメジャーに復帰する決意と、
本作をランドマーク的作品にしたいということを意図していた。

このアルバムのジャケットには、
これまでのエルトンジョンのキラキラ衣装が並ぶ画像が使われた。
それらの衣装は全てオークションに出して処分されたことからも
エルトン自身が過去からの脱却する!という意気込みが伺える。

そんな中、このアルバムに収録された嵐のような作品
「I Don’t Wanna Go on With You Like That」は文句なしの成功を収めた。
「あなたの思うように俺はならない。」

その言葉通り、ギラギラエルトンの逆襲。

「この曲は、ピーク時のエルトンに近いパンチがあり、
俺のケツにキスしろ!と振り回すような曲である。」
この曲はHot 100で2位となり、70年代半ば以来、彼の最高位を記録しました。-by A.U.

67位 ”Pinball Wizard” (‘Tommy’ Soundtrack, 1975)

1975年春、エルトンの人気があまりにも凄まじかった為、
ポップ・ラジオは映画『トミー』のサウンドトラックから
この曲をまるでヒット・シングルのように流していた。

ケン・ラッセル監督の映画「トミー」で、
エルトンは生意気なピンボール・チャンピオン、
「ピンボール・ウィザード」を演じました。

この曲は彼のライブ・ナンバーとして使われました。
エルトンが歌うこの曲は、
ザ・フーが1969年に発表したオリジナル曲よりも熱く、
ボーカル、ピアノもパンチが効いており、(ザ・フーファンの方には異論があると思いますが、こちらの記者の見解です。)
Tommyのサウンドトラックを
ビルボード200の2位にまで押し上げることに貢献しました。by – P.G.

66位 ”I’ve Seen That Movie Too” (‘Goodbye Yellow Brick Road,’ 1973)

アルバム「Goodbye Yellow Brick Road」の煌めきは、
エルトンとバーニーが新しい音楽と歌詞的領域に踏み込んでいったことだと確信している。

とは言え、彼らは今でもシンプルな曲を書くことができる。

本作「I’ve Seen That Movie Too」では、
二人は基本的な人生のメタファーを拡張して表現している。

エルトンとバーニーは、
人生にはあらかじめ用意された台本のようなものがあって、
時に人間関係の中で不本意な役者側にまわってしまう事を
鋭い表現と完璧なフレーミングで切り取っている。

本作は音楽的にはシンプルでありながら、
歌詞の背景には高度なメタファーが散りばめられており、
秀逸の作品と言える。

驚くのは、当時のジョンとトーピンのシンプルな曲といえ6分間もあり、
逆再生のギター・ソロがある。(普通に聴いていれば気がつかないが、未練がまだあることをギターの逆再生で演出。)
こうして73年当時の2人は凄まじい成功を収めた。by – A.U.

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