過去と未来が、同じ場所にそっと並べられていた。
基本情報(来場メモ)
- ゾーン:コネクティングゾーン C21
- テーマ:再生可能エネルギーと循環型経済を基盤とした、持続可能で公平な発展を目指す人々の交差点
- 国のプロフィール:首都 ダカール/面積 197,161㎢/人口 約1,732万人
言語 フランス語・ウォロフ語ほか/通貨 CFAフラン - 滞在目安:20〜30分(じっくり派は45分)
- おすすめ時間帯:午前または夕方(光も穏やかで撮影向き)
※展示や動線は時期により変わることがあります。以下は個人の体験に基づくレビューです。
ゴレ島──涙の塩味が消えない場所

奴隷貿易の記憶を抱くゴレ島。
展示は誇張せず、けれど逃げない。
石の冷たさ、壁に残る静かな気配。
いまは美しい観光地であっても、語る声には少しだけ塩辛さが残る。
“忘れないために見せる”という誠実さが、空気を整えていた。
未来を引き寄せる:医療・バイオ研究

もう一方の柱は医療と科学。
輸血技術、がん研究、そしてバイオ分野の芽。
「できたこと」より「これから伸ばすこと」を正直に語るスタイルが好ましい。
多民族・多言語の交差点は、人と知を呼び寄せる。
起業家へのメッセージも、誇りと実務のちょうど真ん中に置かれていた。
循環の作法:再エネとサーキュラー

太陽と風、資源の循環。
大きなスローガンよりも、路上の実践が印象に残る。
“使い切らない”“次に渡す”という生活の作法が、
素材見本やプロトタイプで手触りを伴って紹介されていた。
硬い言葉が、暮らしの温度に戻ってくる瞬間がある。
観覧のコツ(私の順路)
- 導入壁面(歴史):ゴレ島の章でひと呼吸。文章は短く、映像の余韻で受け取る。
- 医療・研究エリア:キーワードを拾い、奥の図版で裏を取る。
- スタートアップ紹介:人の顔が最良の展示。興味の糸をメモに引っかける。
- 再エネ&循環コーナー:素材見本は45°の斜光で眺めると表情が立つ。
混雑傾向:午後は戻りやすい。午前/夕方は撮影・鑑賞とも快適。
高齢者・休憩:腰を落ち着けられるポイントが適度にあり、案内も見やすい印象。
まとめ
遠い国に来たというより、遠い時間に触れた。
過去は重い。けれど、次に手渡す形へ変えられる。
セネガル館は、その方法を静かに示してくれる。
出口の風が少し涼しく感じたのは、気のせいではないはずだ。

★ 総合評価(5段階)
- 印象に残るか:★★★★☆
- 展示の完成度:★★★★★
- リピートしたい度:★★★★☆
- 高齢者対応:★★★★☆
- 撮影しやすさ:★★★★☆
一行まとめ:バイオグラフィー(生の履歴)とバイオテクノロジー(生の技術)が、同じ机に並ぶ誠実な展示。