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「清明(せいめい)」初候「玄鳥至 (げんちょういたる)」#35

2023年4月5日10時13分 、
春五番目の節気「清明」の
初候「玄鳥至 (げんちょういたる)」になりました。

24個の節気の中の8番目「清明」
72個の候の中の22番目 「玄鳥至 (げんちょういたる)」

※こちらの何番目という順序は古来の正月「冬至」を起点に考えております。
ご了承くださいませ。

清明

「晴明」は春期の五番目の節気で、
太陽が黄経15度の位置に達し、
春分から約2週間後の大体4月5日頃に当たります。
この時期は春季の中で最も過ごしやすく、
気温が安定して暖かくなり、
一般的に春の訪れを感じさせる時期とされています。

とは言え、
節気で言うと春五番目なので、
あと4週間ほどで春は終わり、夏へと向かいます。

清明は最も春らしい季節ですが、
実はここまでの8週間が春の暖かさへと続くモノローグであったと考えられ、
実は春を名残惜しむ時期でもあります。

「晴明」の名前の由来にはいくつか説がありますが、
一般的には「晴れた日の明るくなる朝」
もしくは、「晴れ渡った空から明るい陽射しが注ぎ込む」という意味とされています。

また「清浄明潔」と言う説があります。
この言葉は簡単に言うと
「清く正しく美しく」と言う意味になります。
もう少し掘り下げていきましょう。

清浄明潔

「清浄明潔(せいじょうめいけつ)」という言葉の「清」は
清らかで汚れのないという意味になります。
そしてその清らかさが輪廻して浄化できる自浄作用あるサイクルが「清浄」となります。

この状態を人間に当てはめると、
心も身体も清らかである状態。
それでも時々汚れることがあります。
嫌な気持ちになったり、病気になることもあるでしょう。
心が汚れていると、言葉や行動にも悪影響が出ます。
また、病気は人に移すこともあります。
それを浄化して清らかさを保つ自浄力を持つことはとても大切です。
また、身体的な清浄さも重要であり、清潔な身体は健康にもつながります。

「明」は、文字通り明るく清々しいことを表します。
暗く曇った心や部屋は、気分を憂鬱にし、心の健康にも悪影響があるため、
毎朝陽光を浴びたり、明るく開放的な環境を保つことが望ましいとされています。

「潔」は、汚れのないことを表します。
汚れた環境に身を置くことや、
汚染された物品に触れることで、病気や感染症を引き起こす恐れがあります。
そのため、部屋の掃除や、
入浴、身につける衣服の洗濯、手洗い、歯磨きを積極的に行うことが大切です。

そう考えると、「清浄明潔」は、
心身共に清らかで美しく、清潔であることを目指す姿勢を表す言葉であり、
自然のサイクルそのものと言えます。
そう考えると、「晴明」の美しく過ごしやすい季節にシンクロし、
私たちの日常生活の中に「清浄明潔」取り入れることで、
健康や心の安定につながるように思います。

「玄鳥至 (げんちょういたる)」

さて、晴明の初候「玄鳥至」です。
玄鳥は黒い鳥を表し、燕を指します。
その燕が南国からやってくる時期です。

燕は日照時間を感知し、
この時期に海を渡ってやってきます。
気温ではなく、日照時間がキッカケの為、
時期がズレることがありません。
その為、七十二候に「玄鳥至」「玄鳥去」と春秋二回、燕が登場します。

縁起物の燕

燕はとても縁起の良い鳥とされ、
家に巣を作ると「幸せが訪れる」と言われました。
燕を大事にする習慣は昔からで、
禁ずるおふれもあったようです。

燕が尊ばれる理由に
人間が模範としたくなるような行動をいくつも取る事が挙げられます。
まず、前年子育てした巣に戻ってくる燕がいます。
その燕はその巣を観察し、
悪くなっているところを修復して使います。

古く中国の漢の頃から
この燕の行動を見て、この時期家の壁を塗り替えたり、
修復するタイミングとしたそうです。

また、もし前年の巣が別の燕に使われていたら、
オスとメスで場所を吟味し、
力を合わせて新居を作ると言われます。

その他、つがいのどちらかが欠けた場合、
どこからかやって来た別の燕が
子育てのお手伝いをすることがあるそうです。
(江戸時代の燕観察記に記されているそうです。)

燕は季節を教えてくれるだけでなく、
家の修復、建築、子育てなど、
色々見習いたくなるようなことを見せてくれるのですね。

その燕がやってくるこの時期、
一番燕を探しに行きたいと思います。
「玄鳥至 (げんちょういたる)」の5日間で発見できたら、
幸運がやってくるかもですね!

次回は2023年4月9日、
春五番目の節気「晴明」の
次候鴻雁北 (こうがんかえる)」です。