はじめに

先日、ある大手ネットショップの方2名とこれからの販売についての話し合いをしました。

そこで聞かれたのは、
「天然石の販売で何故、そこまで長く続けられてきたのですか?」ということでした。

私が始めたのは1988年ですので、現在2026年なので38年前になります。
はじめから現在のように天然石業界が存在していたわけではなく、
神秘性で言えば雑誌で怪しいラピスラズリの販売。
各地のお土産屋さんで見る水晶玉の置物や数珠のような念珠。
それくらいでした。

私が考えていた天然石アクセサリーや付き合い方とはイメージが違っていたのです。
そこで1988年、ミネラルのメッカ、アメリカのユタやアリゾナに訪れることになります。

約二ヶ月、レンタカーを借りて石屋巡り。
私は数多くの鉱物の種類や素材に驚く以上に
大地のエネルギーに驚きました。
地球そのものを感じ、そこで生まれた天然石たちをカケラとして持つ。
そんな壮大な石の世界にのめり込んだのです。

石、そのものからパワーを感じ、
その石がどんな姿になりたいかを想像するのです。

私は当時30万円分くらいの石を買う予算としてはとても少ない額で吟味した素材を買って持ち帰り、帰国後販売し始めました。
その頃はお店の片隅に置いてもらうという方法しかありませんでした。

さざれビーズ、タンブル、そしてアメジストジオードや丸玉の置物。
それらをどうやって販売するかの試行錯誤が始まります。

販売の変遷

さざれビーズはワイヤーブレスレット。
ピアスやイヤリングとしてアクセサリーに仕立てる。
置物は鉱物そのものを楽しむ。
時代はバブルでしたので、玄関前におくという理由でよく売れました。
タンブルは石言葉を調べお守り袋に入れて販売。
これがスタートでした。

  • さざれアクセサリー
  • インテリア用置物
  • お守り


その後、丸玉ビーズが大量に出回るようになりました。
毎年毎年見たこともない種類の天然石が手に入るようになりました。
時代はバブルが崩壊し、景気が悪化し始めています。
多くの人がこぞって天然石ブレスレットをつけるようになります。
タイガーアイやアメジスト、オニキス、ローズクォーツ。
同じ種類の天然石で仕立てられたブレスレット。

当時は水晶のネックレスをする野球選手も見られました。
原辰徳など超一流の選手、
願掛けなど縁のなさそうな落合博満氏が選手時代に恐ろしく大きなルチルクォーツのブレスレットをしていた頃です。

しかし、2000年を超えた頃から、
同じ種類の天然石ブレスが見かけられなくなりました。
この頃私が販売して感じたのは、
若い方に勧めても「何か宗教っぽい」という意見で断られました。

私はこの頃、イベントで定期的に販売するようになっていました。
バイトの方にも手伝ってもらっていました。
また私には別の仕事もあり、毎日店頭に立てるわけではなかったのです。

同時に当時の私には悩みがありました。
天然石のお店に携わった経験のある方ならわかると思うのですが、
私が店頭にいない時の売り上げがほとんど上がらないのです。
この頃になると、天然石が好きをいう方も多くなり、
働きたいという方も出てきていました。

しかし、そんな方達の目的は石に囲まれたいとか、
神秘的な仕事なので携わりたいというのがほとんどでした。
ここがとても辛いところでした。
天然石の仕事はある意味大きな声で「売り上げを上げろ!」とは言いにくいのです。

なので、私は自分のいない場所を埋めてもらうためにバイト料を払っているという結果になっていたのです。
とは言え、いつまでも続くと辛いです。
私はここでどうしたら私以外のバイトが店頭にいる時でも商品が売れるか考えてみました。

ちょうど時代は同じ種類の天然石ブレスレットを敬遠し始めていた頃です。

私は生年月日から組み合わせを導き出し、
そうしてそれらをあらかじめデザインしてブレスレットを作ったのです。
導き出す方法は四柱推命の納音という方法です。
生年月日だけで60種類ものパターンが導かれ、しかも性格診断もできるのです。

この表を作り、性格診断、ラッキーカラー、その方へのアドバイス、
そして持つと良い天然石。

これらをポスターにして張り出して、
ついでに60種類を名刺のように印刷して持って帰れるようにしたのです。
また、追加で希望の石を入れて作り直すというサービスも同時にしました。

結果は凄まじいものでした。
それまで私がいないと1週間で5万円などの売り上げだったのが、
いきなり50万円と10倍に膨れ上がりました。
そして、秋に始めたサービスでしたが、年末のイベント販売ではたった1週間で350万円の売り上げを達成。
行列ができてしまうほどでした。

このシステム導入のおかげで、家族分もといって、
お一人で5人分6人分と購入していかれる方が増えたのも売り上げ増加の要因でした。

この販売方法で、私は店を5店舗まで増やすこともできました。
しかし、これもいつまでも続くものではありません。
同じような方法のお店は増え、天然石のブレスレット自体も廃れていきました。

  • 念珠のようなブレスレット
  • 生年月日で導き出すブレスレットやストラップ販売
  • お客さんの希望により組み合わせて目の前で作るオーダー制作

常設店の限界

私は2005年くらいからネット販売をしておりました。
しかし、それだけで会社を維持できるほど売り上げは上がりません。
天然石という商品は怪しいというイメージがつきものです。
従ってどんな商品よりもネットで購入することが敬遠されたのです。

なので私も「やっている」くらいのスタンスでした。

購入してくださるのは以前店舗でご購入いただいたお客様。
それでも売れるのは廉価な商品。
高額な商品は売れることはありませんでした。

そんな中、2008年にリーマンショック到来。
店舗を構えていたビルのオーナーが失踪するなど立ち退きを余儀なくされました。

それからお店を移転。
また定期的な家賃が掛からない百貨店の常設店を大阪と東京に構えました。
高額な商品は店舗でないと売れないから
私も実店舗にこだわりました。

しかし、2014年、
ついに店舗売り上げをネット売り上げが越えるようになったのです。
高額商品が出なくても売上数の伸びが違ったのです。

翌2015年、私は実店舗を全て閉店。
2018年までにイベント販売もほぼ撤収し、ネット販売に特化しました。

それまでの価格設定を全て見直しました。
価格の差は大きなもので5分の1。平均3分の1になりました。

そして、それまで従業員全員が対応できるようにと
簡単にしていたアクセサリーの作り方もチェンジ。
自分にしか作れない一点ものに特化しました。
同時に一人になったので、天然石素材のお店としても充実させていきました。

素材屋さんをやるには天然石アクセサリーの作り方を知ってもらう必要がありました。
私はハンドメイドキットやマクラメアクセサリーの作り方の書籍を執筆販売。
これからの時代、動画で教えなくてはとYouTubeでも配信し始めました。
それが「天然石の詩チャンネル」です。
ちょうど大勢が整った2019年。

さてこれからだと思った翌年2020年の春、コロナの緊急事態宣言がやってきたのです。
不謹慎にならないようにしたいのですが、
2020年から2022年までの3年間で現在のネットショップの売上が劇的に伸びました。

もちろん、これまで出向いて信頼を得ていた天然石の業者が商品を送ってくれて支えてくれたのも大きかったです。

  • 完全オリジナル一点ものアクセサリー
  • それらに使用した天然石素材
  • 材料レシピが入ってハンドメイドキット
  • 作り方のYouTube動画配信

ネットショッププラットフォームに言いたい事

さて、私のこれまでの天然石販売の系譜をお話ししました。
いかがでしょうか?
流行り廃り、そして販売方法の変遷もあり、
その都度時代に合わせて変容しなければならないことが見えてくると思います。

初めの話に戻りますが、ある大手ネットショップのスタッフ方とお話ししました。
『彼らはなぜ長く続けてこれたのか?』
『大体3年くらいで辞めていく店が多い』
との事でした。

それは私がお話しした、その時代、その時代の一部分に対応し、
そこから動かなかったからではないか?と答えました。

これは天然石販売に限ったことではありません。
どんな仕事も流行り廃り、販売形態、景気に左右されて同じ事ではやっていけないと思います。

彼らはもっと広告を進めてきました。
しかし、私のこれまでの話を聞いて、
例えば物凄い大きなアメジストジオードや水晶玉の販売が厳しくなり始めた頃、
宣伝を打てば売れたでしょうか?
その商品は生き残れたでしょうか?

同じ種類の天然石のブレスレットが下火になった時、
もっとテレビCMを打てば、水晶ブレスレットやネックレスを多くの人がしてくれて、
今でも売れ続けたでしょうか?

店舗での販売が厳しくなり出した頃、
もっと店舗の改装にお金をかけて豪華にし、宣伝すればお店は繁盛したでしょうか?

今、ネットショップのプラットフォームでも天然石の素材を扱うお店がとても増えてきました。
ここでお金をかけて宣伝することが生き残る戦術として効果的だと
色んなプラットフォームが囁きかけます。

しかし、私は違うと思います。
何故ならこれまでが宣伝でどうにかなってこなかったからです。

私はこれからは値段や品質だけでなく、
どこからどうやってきたのか?
誰が販売しているのか?
そして誰が作っているのか?
独創性や面白みがあるか?
が鍵になると思ってます。

なので、このYouTubeなどで自分の人となり、
商品も含めて紆余曲折の物語りを配信することが、1番の宣伝だと思うのです。

もちろんこれが答えだとは思いません。
どうやって魅力を伝えようか?
自分だけしか作れないアクセサリーを作れるか?
このもがいている姿もすでに物語なのです。

AIやネット広告、宣伝に安易に飛びつくのは
一番面白くて苦しくて切なくて、愛くるしい仕事を誰かにあげてしまうことと一緒です。

一緒に天然石を楽しみましょう。

それでは次回、天然石アクセサリーの種類を
「中世、近世から読み解く」という動画の配信を予定しております。

最後までお読みいただきありがとうございます。