自分育て

「桜始開(さくらはじめてひらく)」#33

2023年3月25日
春四番目の節気「春分」の
次候「桜始開 (さくらはじめてひらく)」になりました。

24個の節気の中の7番目「春分」
72個の候の中の20番目「桜始開 (さくらはじめてひらく)」

※こちらの何番目という順序は古来の正月「冬至」を起点に考えております。
ご了承くださいませ。

「桜始開 (さくらはじめてひらく)」

文字通り、
桜の花が咲き始める頃です。

桜前線が北上し、
日本中、花見で賑わいます。
春分の中日、
春到来の華やかな雰囲気が日本を包み込みます。

菜虫

菜の種類の葉を食べる虫は意外に少ないようです。

モンシロチョウの幼虫以外には
僅かにカメムシがいるくらいで、
実は菜という種類の植物は毒性が強く、
食べる虫はほとんどいないようです。

しかし、人間は自分が食べるために育てるので、
キャベツなどを食い荒らす青虫やカメムシをとても嫌います。

桜は今でこそ日本を代表する花です。
そのほとんどがソメイヨシノですが、
元々日本中で見られた桜ではありません。

古くは春といえば「梅」
日本を代表する花といえば「菊」でした。

しかし、日本人の生き様を体現したような「桜」は
平安時代からすでに特別な花とされ、
山に自生する桜を徐々に接木などの技術で里に持ち込み、
身近に楽しめるよう増えていった経緯があります。

その桜は殆どが八重桜だったものが、
品種改良により江戸時代にソメイヨシノが登場、
全国に植えられていったようです。

桜の魅力は、
咲きた時の淡いピンク、
控えめな色合いながら、
沢山の花が連なって咲き誇る姿が
集団を大事にする日本人の心に響きます。
そして、あっという間に散ってしまう潔さに
私たちは侘び寂びを感じ、
刹那的な生き様を愛さずにはいられないのでしょう。

最近では、欧米でも
「SAKURA」と呼ぶことも多いようです。

幹を食う

桜は、樹齢100年を超える頃から、
幹の中が空洞になるといます。

自分の中心の身を食べて、
枝葉を伸ばすと言うのです。
その為、大きな桜をよく観察すると、
根に近い幹は空洞なのが観察できます。

桜は花で私たちに「格好良い生き様」を見せてくれますが、
実は樹齢全部でも自然と自ら倒れて、
若手に道をゆずる生き様を見せてくれるのです。

上記の画像は
京都の真如堂の現在の3代目「多て可波さ九ら」です。
以前、樹齢500年の台風の影響で皮一枚で立っていた桜があったそうです。

名物桜を残したいと言う意向で、
伝説の桜守「佐藤藤右衛門」さんが
その無惨な桜を甦らせたそうです。

そうして板のように立っている皮から
桜の花が咲くようになったそうです。
その奇妙な桜に、
子供が物珍しさで折ったりしないようにと
佐藤さんが立て札を立てたのが
現代の「多て可波さ九ら」の石碑の原型だそうです。

この自然のリサイクル機能に
何とも感心させられます。

今の花見のシーズン、
太く短い生き様を見せてくれる桜から、
考えさせられることは
とても多いように思います。

次回は2023年3月30日、
春四番目の節気「春分」
末候「雷乃発声 (かみなりすなわちこえをはっす)」です。