ベジタリアンはインド発祥
インドの家庭の約29~40%が菜食主義の食事をしています。
それは同時にインドが世界で最も菜食主義者が多い国という意味でもあります。
これは、インド全体の食文化の根深い部分に存在しており、
何を皿に載せるかによってコミュニティが分かれています。
私は初めて「ベジタリアン」という言葉を聞いた時、
欧米の言葉だと思っていました。
しかし、菜食主義者を野菜の単語から引用した場合、
ベジタブル→ベジタビリアンになるはずです。
しかし、ベジタリアンと表現します。
この答えはインドに行けば解があります。
インドのレストランには様々な食文化の人々の為に、
分かりやすいように店の前に菜食主義者用に「ベジ・タリ」、
鶏肉までは食べる人用に「チキン・タリ」、などと書かれているのです。
そもそも「タリ(THALI)」とは、その文化、宗教に寄り添い、
教えを守る人のことです。
宗教の場合は修行僧になります。
私たちに強烈なイメージをもたらした「タリバン(学生)」という言葉も語源はやはり同じアラビア語からきているのでしょう。
さて、
インドには、完全に菜食主義のメニューを提供するレストランが数多くあります。
その中にはジャイン教の食事があります。
これは、完全菜食主義の中でも
タマネギ、ジャガイモ、ニンニクなどの根菜を食べない菜食主義者のことを指します。
ジャイン教徒かどうかに関わらず、菜食主義は主に霊的信念に関連しており、
また伝統や既存の健康問題とも関連しています。
もう一つに「ビーガン」と呼ばれる完全菜食主義があります。
ヒンドゥー教の聖地「プシュカル」などでは村全体がこのビーガンで、
「チキン」「ケバブ」等一切見当たりません。
タンパク質といえば、豆、
そしてギリギリ卵、ラッシーは見かけます。
しかし、本当のビーガンは卵も乳製品も口にしません。
インドでビーガンを押し通すことは容易ではありません。
なぜならば、ギー(澄んだバター)や乳製品のクリームは、
インドのあらゆる料理に使用されているからです。
しかしながら、ビーガンという事を事前に伝えれば、
インドの多くのレストランがビーガン対応の調理可能な料理を調理してくれます。
また、自分の食生活で食べられない食材をピックアップし、
ヒンディー語で記しておき、
注文の際、ウェイターに伝えたり見せたりすることで対応してくれます。
それほどインドでは菜食主義が根付いているのです。
一方で通常多く見られるのが、
ベジタリアンとノンベジタリアンの両方に料理を提供するレストランです。
すべての食品は、菜食主義者向けには緑の点、
非菜食主義者向けには赤の点でマークされています。
丁寧なレストランでは、
お互いが目にしなくて良いように、
ベジタリアンとノンベジタリアンのメニューは別々に用意されています。
インドの食文化においては、ベジタリアン、ノンベジタリアン、
そしてビーガンなどの食習慣は当たり前で、
一過性のものではないことが伺えます。
次回は「みんな大好きカレーについて」です。