自分育て

#33 遠い人への発信

人は身近な人に対して反発する本能を持っている。
それは悪いことではない。
共倒れにならないための生存本能でもあるからだ。
この特性を知っていると周囲の人から良きアドバイスが得にくいことが分かる。
私たちは身近な人に良いものを作る為のヒントやアドバイス、
そして共感さえも得にくいのだ。

だから私たちは発信しようとする時、
未来のまだ今は生まれていない人に伝える気持ちで臨む方が気が楽になる。
いつか届くかもしれないと思えるだけ励みになる。
だから遠慮なく、
「未来の人」に発信しよう。
その方が、自分にも家族にも優しくて、
圧力を掛けない事になると思うのです。

人間関係の中での身近な人に反発という本能は、
ある意味で自己防衛のメカニズムとも言えます。
この反発感は、親密な関係ほど強くなりがちで、
意見や批判を受け入れにくくなる原因となります。
顕著な例は親子でお互い話を聞かない事です。
その理由を親と子、別々に理由を問うと、
「親が話を聞かない。」
「子供が話を聞かない。」と言います。
自分が相手の話を聞いてない事を横に置いて、
先に自分の話を相手が聞くべきだと主張する訳です。

これは、身近な人からのフィードバックは直接自己のアイデンティティに関わるため、
防衛本能が働いてしまうためだと考えられます。

クリエイティブな活動をしている場合、
アイデアを熟成しようと身近な人に意見を乞うとします。
すると、ほとんどが否定的な意見が返ってきます。

  • 「難しそう」
  • 「何処かで聞いた事があるアイデアですね。もう既にあるから無理かも」
  • 「現実的にどうだろう」

など、いずれもやる気が失せるネガティブ意見が大半で、
ポジティブでどんどん盛り上がるような話になることはあまりなく、
話すんじゃなかったと後悔した経験は誰にでもあると思います。

だから、クリエイターは孤独な活動になりがちになります。

一方で、未来の人への発信は、
そのような直接的な反発感を避けることができる利点があります。
自分自身をオープンに表現することができ、
受け取る未来の人に対しても、
もし見つけてくれたらという、ファンタジー要素の強い気持ちで臨む事ができます。

現代はインターネットの普及によって、
全世界に向けて気軽に発信することが可能になり、
私たちのコミュニケーションの仕方を根底から変えました。
このような環境は、自己表現やアイデアの共有に対するハードルを大きく下げ、
創造性やイノベーションを促進する土壌となっています。

この方法を使って、
効率的に作品を発表したり、意見を聞く事ができるようになりました。
しかし、これもまた、身近な人に発信すると否定的な意見を言われる可能性があります。
誰もが衆知の通り、匿名を利用した暴力的なリアクションがあると言う事です。
見知らぬ人から木っ端微塵に罵倒され、しかもその姿が色んな人に晒される訳です。
どんなに強い心の持ち主でも、平気でいられるわけがありません。

これらに対しては、
最近のSNSでは相手に分からないミュート機能などが発達してきているので、
上手く技術で対処する事で切り抜けるしかないようです。
綺麗な景色を見る事ができる登山に、
怪我や熊や毒蛇などに遭遇する可能性があるのと同じで、
いいことばかりではないと初めから覚悟する事も肝要です。

どちらにしても、現在生きている人への発信は、
メリット・・・収入
デメリット・・・炎上

これをクールに踏まえ、
自分の思いやアイデアを自由に表現し、
未来人に向けて発信するくらいの気持ちが
長くクリエイター活動できるコツのような気がします。